より創造的に、より柔軟に  more creative, more flexible

私は10年間ほど建築物の構造設計者として仕事をしてきました。

とある日の仕事中、図面に変更が生じたので手元にある図面に赤ペンで変更点を描き入れました。ちょうどその時はCAD作図をお願いしていたオペレーターさんとの契約が切れてしまっていたので、さて誰にCADデータの修正をお願いしようかと考えた時、ふと思いました。

24時間365日いつでも自分に付き添って仕事を請けてくれるCADオペレーターさんがいれば、どれだけ仕事がはかどることか……。

日本中探せば今この瞬間に仕事をしたいけど暇を持て余しているオペレーターさんもいるだろう。いや、日本にいなかったとしても地球上のどこかには……。

そんな妄想からこの計画は始まりました。

設計者、エンジニアがCADオペレーターを探したり、見積もりを取って契約を交わす手間は意外と大きいものです。

まして数時間で終わるような少ない作業量の場合は外に出すのを諦めて自ら作業を行ったり、後輩に頼んだりと……。

では頼まれた後輩はどうなるか?

たとえ社内にオペレーターがいたとしても突発的に生じた作業をすぐにやってくれるとは限りませんので、往々にして調整が必要になります。

こういった手間やタイムラグから解放されれば本来やるべき設計業務により集中でき、生産性が高まることに疑念の余地はありません。

一方でCADオペレーターの方はどうでしょうか。

設計者から出てくるはずだった作図指示が延期された。業務が急に中断した。

といった理由でせっかく出勤したその日を無駄に過ごしたという経験はありませんか?

または育児休業中や暇な休日に自宅でスポットで仕事をしたい、という方もたくさんいるのではないでしょうか?

それとは逆に短期間で大量の作図をしなければならないときに、そのうちの比較的簡易な作業を余裕がある別のオペレーターに頼むということもあるかと思います。

こういった業務の平準化は大きな事務所の中では日常的に行われていますが、小規模な事務所ではできません。

仮に、会社や事務所といった境界を越えて日本全体がひとつの組織のようになり、仕事をすぐ頼める、請けられる環境があれば誰でも業務の平準化ができるようになります。

フルーは上記したような設計者、エンジニアとCADオペレーター、両者のニーズを結びつけるサービスを目指して一歩ずつ歩みを進めていきたいと思っています。

より創造的に、より柔軟に

新しい働き方、一緒にはじめませんか?

余白をつくる create blank space

では上で述べたようなサービスが実現した暁にはどんな世界が広がるのか?

私たちはサービスを展開する者の責任として、サービスの形だけではなく、それによってもたらされるメリットについても語る必要があると考えています。

特に近年ギグエコノミーに対する社会的な目は厳しさを増していますので、この部分は非常に重要だと考えています。

「生産性」とか「平準化」という言葉を上で用いましたが、ただそれだけが目的では再生産と効率化を推し進め、サービス利用者に何のメリットももたらさない危険性をはらんでいます。

ここで、私が非常に感銘を受けたのが、東京大学でFoundXというスタートアップ支援プログラムの指揮をとっている馬田先生の論説です。

先生はイノベーションによって「ゆとり(schole)」を生み出すことが必要と説かれています。

ゆとりがあることで、より深く考え、学び、より良い共同体を作ることが可能になると述べられております。

先生はまた、「ゆとり」を「余白」という言葉でも置き換えています。

日々デザイン業務に関わる私たちにとっては「余白」という言葉の方がしっくりくるかと思い、この言葉を使わせて頂くことにしました。

この「余白」は時間であったりお金であったりします。

フルーを利用頂く方が新しい余白を手に入れ、それを自由に使い、新しいデザインを生み出したり、家族と過ごす時間を増やしたり、ちょっと贅沢をしてみたり、という状況を実現させたいと考えています。

余白の使い方まではフルーの力の及ばない範囲ですので、ぜひそのようなことを意識してサービスを利用頂ければ幸いです。

ここで、フルーはより多くの余白をつくるために何ができるか?

まず第一に考えられるのは契約金額の維持です。

契約金額は基本的に需要と供給のバランスにより決定されるべきだと考えますが、一般的には受注者側が不利な状況に置かれがちです。

不当に低い価格での発注が生じていないか注意深く見守っていく所存です。

また、短い納期で通常では不可能な分量の作業を強いる発注も防がねばなりません。

余白をつくるという目的に相反して受注者に過度のストレスを与えることがあってはなりません。

上記2つの課題に対して、発注者と受注者の相互評価システムは必須の機能と考えています。

一般的には受注者のみが評価の対象となることが多いですが、逆向きの評価も行うことで健全なコミュニティを維持する一助になるかと考えていますので、ご協力頂きたいと思います。

まだまだ「余白をつくる」という企業理念に対して施策が不十分だという声もあるかと思います。

皆様の声を聴きながらシステムをブラッシュアップさせ、掲げた理念に近づいていきたいと考えております。

株式会社フルー

〒176-0004 東京都練馬区小竹町1-51-14

tel:070-8332-7182

代表取締役:矢野 貴大 (Yano Takahiro)

1983年生まれ。

北海道大学大学院工学研究院卒業。

ゼネコン建築設計部にて11年勤務。

その間住宅、商業施設、工場など様々な建物の設計を担当。

人生の余白をつくるために2020年に退職。

残業が多いと言われる建設業でもクラウドソーシングを有効活用することで生産性が高まり、結果的に働き方改革につながるものと考え本サービスの準備中。